観光地、特に京都なんかを歩いていると、よく見かけるのが「重要文化財」等の立て札です。
重要文化財という名前は聞いた事があるのですが、実際にどれくらい重要なものなのか?というのがイマイチピンとこないものですね。

一言で文化財と言っても色々な種類があり、縦に横にと枝分かれしていくので結構複雑です。
そこで今回は文化財の種類を解説していきたいと思います。

これを知れば観光地で文化財の立て札等を見ても、より理解が深まり、味わい深いものになるでしょう。


文化財とは?

そもそも文化財というのは、建物、芸術品、技術、風習等を色々な観点(歴史的・学術的・芸術的)から見て価値のあるものだと判断されれば、それを無くさないように保護しましょうというものです。

これがあるから伝統のある様々なものが今でも遺(のこ)されていて、この美意識が無ければ今頃日本は殺風景な所になっていたでしょう。

図にしてみました

実際に説明する前に図で全体を見た方が解りやすいと思うので、まずはこちらをご覧下さい↓


分類すると6種類に分かれ、そこから更に枝分かれしていくという感じで、右に行けば行くほどより重要度が増していくというイメージです。

それでは1つづつ説明していきましょう。


有形文化財

読んで字の如く形のあるもので、建造物、絵画、彫刻等々が挙げられます。
有形文化財の中でも特に重要なものを「重要文化財」、更に世界レベルで見ても価値のあるものを「国宝」に選ばれています。

京都の主な国宝

「清水寺・本堂」「二条城・二の丸御殿」「平等院・鳳凰堂」等、有名な観光地は大抵国宝に選ばれています。
ちなみに金閣寺の「金閣」は国宝ではなく、別の分類に属しています。


無形文化財

有形に対する無形で、形の無いものつまり、音楽や演劇、技術等が挙げられます。
無形文化財の中でも特に重要なものを「重要無形文化財」に選ばれ、技術の持ち主等人が選ばれる事もあり、それがいわゆる「人間国宝」です。

「能」「狂言」「雅楽」「義太夫節」「古典落語」陶芸の「○○焼き」染織の「○○織」等がこれに当たります。


民俗文化財

民俗文化財はお祭り等の行事及びそれに使用する祭具等がそれに当たり、有形と無形に分かれています。
民俗文化財の中でも特に重要なものを「重要有形民俗文化財」「重要無形民俗文化財」に選ばれます。

京都の主な民俗文化財

「祇園祭山鉾」(重要有形民俗文化財)
「祇園祭・山鉾行事」(重要無形民俗文化財)


記念物

記念物は貝塚、古墳、城跡、庭園、動植物等がこれに当たり、その中でも重要なものを「史跡(貝塚、古墳、城跡)」「名勝(庭園)」「天然記念物(動植物)」に選ばれ、その中から更に重要なものを「特別史跡」「特別名勝」「特別天然記念物」に選ばれます。

京都の主な記念物

金閣寺庭園(特別史跡・特別名勝)
銀閣寺庭園(特別史跡・特別名勝)
天橋立(特別名勝)


文化的景観

いわゆる「日本の原風景」と呼べるような所で、その土地の風土によって作られた景観がそれに当たります。
文化的景観の中で重要なものを「重要文化的景観」に選ばれます。

京都の文化的景観

宇治の文化的景観(重要文化的景観)
確かに宇治は景観が凄く良いです。


伝統的建造物群

文化的景観とちょっと似てる所がありますが読んで字の如く「建造物群」がそれに当たります。
まず市町村が「伝統的建造物保存地区」を定め、そこから更に重要なものを「重要伝統的建造物群保存地区」に選びます。

京都の主な伝統的建造物群

産寧坂(重要伝統的建造物群保存地区)
祇園新橋(重要伝統的建造物群保存地区)


観光地の見方が変わる

これらの知識を身に付けておくと、今までなんとなく見ていた観光地の見方が変わってきます。
特に京都は文化財が非常に多く、観光地でよく見る「国宝」と「重要文化財」はこの記事を書いている現在で300件あり、全国でもダントツで1位になります。

ちなみに2位は奈良の264件で、3位は滋賀の185件です。

京都はどこへ言っても重要文化財の立て札があるので当たり前になっていましたが、今記事の内容を踏まえて考えるともの凄い事なんですね。
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