「有名な観光地だから行ってみたけど、あんまり良くなかった」という経験はないでしょうか。

有名な観光地というのは時として名前だけが一人歩きしているという事もあります。

武信稲荷神社はその逆パターンで、あまり知られていないですけど本当におススメできる良い所になります。

いわゆる「穴場」という部類に入るのですが、こういう所は行き尽くされた感がある京都ではあまりお目に掛る事が出来ません。

今回はそんな貴重なスポットを見ていきましょう。


武信稲荷ってどこにあるの?



ざっくり見ると↓


武信稲荷神社は三条通りから曲がった所にある神社になります。

三条通りの堀川通り~千本通り間は「三条会商店街」という商店街になるのですが、その商店街辺りに位置し、中心地でもやや端の方にあります。



老舗の布団屋さんとコインランドリーが目印で、その間を南に曲がります。





その曲がる所にのぼりが掛けられているので注視しておきましょう。

曲がってまっすぐ歩くとすぐに神社が見えてくるので、迷う事はありません。


武信稲荷神社ってどんな所?


武信稲荷神社は決して大きな神社ではなく(小さい訳でもない)、地元に密着した神社になるのですが、時たま巡り合う妙に心地の良い神社になります。(良いパワーが充満しているのだと思います。)


本殿

御祀神
宇迦之御魂大神(ウガノミタマノオオカミ)
佐田彦大神  (サダヒコノオオカミ)
大宮能売大神 (オオミヤノメノオオカミ)
御祀神は上記三神で、稲荷神社いわゆる「おいなりさん」に祀られている神様で、メインの宇迦之御魂大神は人間の生活に関わる全て(健康・精神・食・仕事etc)を守護するオールマイティーな神様になります(五穀豊穣が有名ですが、それだけではありません)

佐田彦大神は導きの神様で、道祖神等道案内の神様として有名で、大宮能売大神は調和の神様とされていて、色んな人間関係(接客・家庭etc)に関する神様になります。


御神木がまた味わい深い! 大切な人との再会物語


武信稲荷神社の御神木は榎なんですが、これがまた味わい深く、あの坂本龍馬にも関係しています。

この近くに幕府に反対していた人を閉じ込めていた牢獄があったのですが、竜馬の妻おりょうの父親もそこに入れられていました。

竜馬は何とかしようとしていたのですが竜馬自身も追われる身。うかつに近づく事も難しい状況でした。

ですので竜馬は牢獄の様子を伺う為、この木に登っていました。

竜馬は命を狙う追手から逃れるため、妻のおりょうと離れ離れになったのですが、この木がきっかけで何と再会する事ができました。

おりょうも竜馬の事をかなり心配していて、ふとこの神社の事を思いだして訪ねた所、この木に「」という字が彫られていました。

「竜馬は生きている」「この京都にいる」というメッセージを受け取ったおりょうは共通の知人を通して竜馬と再会できました。

本当に凄い奇跡です。

なのでこの御神木は現在、竜馬とおりょうの再会物語にあやかって縁結びの神様として祀られています。




榎の気が折れて龍に生まれ変わる

折れた榎の枝


実は2013年に榎の枝が折れてしまったのですが、その枝が龍に生まれ変わりました。





折れた枝をチェーンソーアート世界チャンピオンの城所ケイジ氏に依頼し、見事な龍へと変えてくれました。


ちなみに幕府に反対していた人が捉えられていた牢獄はこんな所



武信稲荷神社から歩いて20~30秒くらいの所に幕府に反対していた人が捉えられていた牢獄がありました。

正式には「六角獄舎(ろっかくごくしゃ)」と言い、現在は刑務所から服役された方が再出発出来るようにバックアップをしている施設になっています。


末社


武信稲荷神社は末社の領域の雰囲気がとても良く、特に本殿の奥が最高です。

1つ1つ見ていきましょう。


伏見遙拝所


「遙拝」というのは遠くにいる神様に祈りを捧げる事で、ここでは伏見稲荷大社のある稲荷山に祈りを捧げる事ができます。


白清大明神・七石大明神・太郎松大明神


右から「白清(はくせい)大明神」「七石大明神」「太郎松大明神」。

白清大明神は別名「伯清稲荷大明神」。蚕ノ社で有名な木嶋神社に「白清社」という神社がありますが、どうやら同じ神様みたいです。

七石大明神・太郎松大明神はかなり珍しく、全く情報がありません。

でも武信稲荷神社の中で一番好きなお社です。


釘抜き大明神


大きなペンチみたいなはさみが特徴的で、釘抜きという釘を抜く道具になります。

読み方は「くぬき」と読み、「苦を抜く」というのが由来で、ここからそれほど遠くない場所に「釘抜き地蔵」と呼ばれる寺院があります。


常吉大明神


石碑の上に小さく「能勢妙見山(のせみょうけんざん)」と書かれているので、能勢妙見山と関わりがあると思われます。

能勢妙見山とは大阪の北の能勢町にある寺院です。


宮姫社


竜馬とおりょうの再会物語で触れた通りです。


武春大明神


本殿に裏に祀られているのですが、全く解りません。「武」という字から察するにこの神社の関係者の可能性があります。

神社でお祀りするのは何も神様だけではなく、歴代の神主等、その神社に所縁のある方もお祀りされます。

金毘羅宮・天満宮


いわゆる「こんぴらさん」と「天神さん」になります。金毘羅とは元々仏様の名前ですが、神道的には「大物主神(おおものぬしのかみ)」の事です。

何故か金運系のご利益として有名ですが、生活全般的にオールマイティーな神様になります。

京都では祇園四条界隈にある「安井金毘羅宮」が有名で、そこは別名「縁切り神社」と呼ばれています。

天満宮は北野天満宮よろしく学問の神様ですね。


白蛇大弁財天


いわゆる「弁天さん」で有名な神様ですね。金運上昇・商売繁盛系のご利益で有名ですが、元々は水の神様になり、子宝系や交通安全等のご利益もあります。

この神社には信者の方のお告げによって建てられるという不思議な経緯があります。

信者の方が「これこれこういう条件の神社に祀りなさい」という神様のお告げの夢を見て、その夢の通りの神社がまさにこの武信稲荷神社だったそうです。


起上大明神


七福神の「だいこくさん」と同一の神様とされていて、神道的には「大国主命(おおくにぬしのみこと)」という神様になります。

「起上」という名前がとても良く、「起き上がる」「発展していく」という意味が込められており、とても縁起が良いですね。





正面入り口のガレージの所に祀られていました。


一寸法師が暮らしたとされている


あと、末社ではないのですが、武信稲荷神社は一寸法師が暮らしていた所とされています。

一寸法師の物語で「三条大臣殿に気に入られた」というくだりがあるのですが、この三条大臣殿というのは武信稲荷神社を立てた人の事を指すそうです。

坂本龍馬と言い、一寸法師と言い、中々由緒のある神社だという事も解ります。


終わりに

仮に知り合いが、京都の定番観光地は一通り回ったので「どこか穴場的な所はない?」と聞かれたら、武信稲荷神社は候補にあがる所と言えます。

確かにそこまで大きな所ではないので滞在時間はそんなに長くないですが、立地的には三条通りなのでここからどこへでも行く事ができます。

何かのついででも構いませんので、この辺りを通った時は是非一度参拝してみてください。
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